新興時計ブランド「ゴリラウォッチ」が強烈に気になり、色々と情報を調べてみました。かなり独特なブランドということもあり実際に購入してレビューする人はまだまだ少なく、欲しい情報が中々見つからない状況です。そこでブランド情報を一通り調べ、自分が気になるポイントなどをまとめてみました。またどのモデルを買うか、今後のブランド展開を予想しながら比較・検討していきます。
ゴリラウォッチというブランドは、以下のような人に向いているかと思います。
・車・バイクに関連した時計を探している
・カーボンやチタンなど特別な素材を使用した時計を探している
・10-20万円前後で品質の高い機械式時計、セカンドウォッチを探している
ゴリラウォッチってどんなブランド?
創業:2016年
拠点:スイス北西部ヌシャテル州の町クレシエ
ゴリラウォッチはオーデマ・ピゲでチーフ・デザイナーを務めたオクタヴィオ・ガルシア氏(Octavio Garcia)と、シニアデザイナ一のルーカス・ゴップ氏(Lukas Gopp)が立ち上げたブランドで、創業は2016年、スイス北西部ヌシャテル州の町クレシエを拠点としています。
オーデマ・ピゲという世界的にも著名な時計ブランドでのキャリアを離れ立ち上げたゴリラウォッチですが、ブランドコンセプトは「創造的破壊型」時計作り、そしてターゲットは「常に新しいモノを創り出すことに悦びを求めている人」であり、無難な時計を求めている人のためのブランドではないと断言しています。
ゴリラウォッチはアメリカンマッスルカーなど自動車から着想を得たデザイン作りをしていて、車と時計の相通ずる情熱を表現しています。販売価格およそ18万円〜ながら、カーボン、チタン、アルミなどの素材を使用し、特に車・バイク好きにはたまらないブランドです。アメリカンマッスルカーだけでなく、フェラーリなどヨーロッパの自動車をモチーフとしたモデルもあったりします。
そのデザインや色使いなど、一発でゴリラウォッチと分かる時計であり、また、レギュラーモデルでも年間200-300本程度しか製造されないため、人とは一味違うものを身につけたい人にはバッチリなブランドです。この価格帯でここまでのデザイン性、そしてカーボンやチタンなど特別な素材を用いることは他のブランドではまず難しいでしょう。
ゴリラウォッチはロレックス、オメガ、カルティエなど高級ブランドを取り扱う時計店の中で主に販売されており、戦略として機械式時計マニア向け、高級時計所持者のセカンドウォッチとしての立ち位置となっています。
オクタヴィオ・ガルシア氏は、世界三大高級時計メーカーの一つであるオーデマ・ピゲでチーフ・アーティスティック・オフィサーとしてブランド全体のクリエイティビティを統括していました。また、ルーカス・ゴップ氏はIWCシャフハウゼン、ラルフローレン・ウォッチ&ジュエリーといったブランドでキャリアを積み、そしてオーデマ・ピゲではシニアデザイナ一を務めていました。
こういった高級時計ブランドでの実績は、最先端の素材を組み合わせる発想であったり、綿密に計算された設計に表れています。後述しますが、ヴォーシェ・マニュファクチュール・フルリエによって設計・製造された「ワンダーリングアワー機構」を搭載したモデルを発売するなど通常、新興ブランドにはできない時計作りをしています。
一流ブランドに負けない品質や高いデザイン性、そしてこれまでにない「創造的破壊型」といったコンセプトに大きな魅力のあるブランドではないかと思います。
高級ブランドの時計は普段使いしづらい面もあり、セカンドウォッチの需要は高いと思います。私は海外に滞在する期間が長いのですが、100万円クラスの時計を普段使いすることはちょっと難しく、でもフツーの時計では物足りないと感じており、そんな中気になったのがこの「ゴリラウォッチ」です。
ゴリラウォッチはSWISS MADEではない?
高級時計の証とも言える「SWISS MADE(スイス・メイド)」の表記について
ロレックスやオメガなど高級時計の文字盤には大抵「SWISS MADE」といった表記があり、スイス製の時計であることの証明となっています。この「SWISS MADE」を名乗るためにはいくつもの条件があり、それをクリアしたものだけが文字盤に「SWISS MADE」の刻印ができることになっています。その条件の1つが、スイス製ムーブメントを搭載していることです。
ゴリラウォッチの「ファストバック」「ファストバックGT」にはMIYOTAのムーブメント(日本製)が搭載されており、これは所謂汎用ムーブメントです。スイス製ムーブメントが搭載されていないことから、これらのモデルはスイス製を名乗ることはできず文字盤に「SWISS MADE」の表記はありません。
「サンダーボルト」「ドリフト」といったコンプリケーションシリーズにはスイス製のムーブメントが搭載されており、これらはスイス製の時計ということになり、文字盤に「SWISS MADE」の刻印が確認できます。
スイス製を名乗るにはムーブメントに関してではなく、そのほかスイス国内でケーシングを実施していること、スイス国内で最終検査を行なっていることなど基準があるのですが、「サンダーボルト」「ドリフト」はいずれの基準もクリアしていることから「SWISS MADE」の刻印ができるわけですね。
もしスイス製の時計「SWISS MADE」にこだわる場合、購入の選択肢はコンプリケーションシリーズである「サンダーボルト」「ドリフト」となります。ただし価格はおよそ110万円〜となってしまい、セカンドウォッチ的な使い方は難しいかもしれません。
では「ファストバック」「ファストバックGT」はどうなのかといえば、ムーブメントにそこまでこだわりがなければ選択肢として十分アリだと思っています。ゴリラウォッチは新興ブランドとして比較的安価な価格設定でモデル作りをスタートしました。ケースにはカーボン、チタンなどをふんだんに使用し品質やデザイン性を確保しながらも、ムーブメントには汎用品を搭載することで安価な販売価格を実現しています。
ゴリラウォッチは「サンダーボルト」「ドリフト」など高価なモデルを販売開始しており、今後ももっと価格が上がっていく可能性は高いです。「ファストバック」「ファストバックGT」はゴリラウォッチの中でお得なモデルと言え、こういった安価なモデルは今後手に入らなくなる可能性を考えると、今のうちに購入するのもいいかもしれません。
ゴリラウォッチのラインナップ・価格帯
ゴリラウォッチのラインナップとこれまでの価格推移について見ていきます。ゴリラウォッチが日本上陸したのは2018年6月で、当初はファストバックシリーズの「RSホワイト」「ファントム ブラック」「アシッドグリーン」が発売されたようです。そして価格ですが税込で138,240円でした。その後価格は154,000円、そして現在では174,900円へと改定されています。
また、ファストバックGTについては「モデナ」「バンディット」などは従来237,600円だったのが、現在では267,300円へと改定されています。
ワンダリングアワー搭載のドリフトシリーズについても当初のモデルは税込626,400円でしたが、その後815,540円、そして現在ラインナップされているモデルは1,089,000円へと推移しています。
上記は調べた限りの改訂情報なので実際はさらに改訂が繰り返された可能性もあります。途中でベルトや文字盤の仕様変更などもあるので純粋な値上げのみというわけではないですが、それでも当初より数万円程度、ドリフトシリーズに至っては50万円近く価格が上昇しているということです。
また、2023年新作の「ファストバックツーリング」は税込353,100円です。ケースはDLC加工のステンレススチールを採用しており、ムーブメントはMIYOTAの9039が搭載されます。当初のゴリラウォッチの価格帯が15万円程度〜だったことを考慮すると、この仕様を見てもかなり高いな、といった感想です。ゴリラウォッチは段々と高価格帯にシフトしていることが分かりますね。
狙い目のモデルについてはベースグレードの「ファストバック」です。また、もし中古でも問題なければ「ファストバック」や「ドリフト」が定価と比較してかなり安価で手に入ります。これについては以下で解説しています。
旧作と新作の違い
ファストバック、ファストバックGTともにモデルチェンジが実施されています。以前のモデルでは文字盤中心がオープンサークルでメーターっぽくなっていましたが、現行モデルでは閉じている仕様です。現行モデルの方がすっきりとしたデザインで、視認性は良くなっていそうですね。また「Gorrila」のロゴが中央へと移動しています。ベルトはモデルによって異なりますが、例えばRSホワイトは旧モデルでは通常のラバーでしたが、現行モデルでは表側にコーデュロイ素材を採用しています。また、バンディットでは通常のラバーベルトからヴァイトンラバーとパンチングレザーのハイブリッド仕様へと変更されました。
現在のラインナップ
・ファストバックGT
・ドリフト
・サンダーボルト
・ファストバックツーリング
ゴリラウォッチには現在MIYOTA製のムーブメントを搭載する「ファストバック」「ファストバックGT」、コンプリケーションシリーズの「サンダーボルト」「ドリフト」、そして2023年12月デリバリー予定の新作「ファストバックツーリング」シリーズがラインナップされています。
ゴリラウォッチの時計はレギュラーモデルでも年間200-300本程度しか製造されないようです。
ファストバック
ゴリラウォッチのベースグレード「ファストバック」シリーズです。70年代の自動車をイメージしたカラーのモデルや、スイス・モントルーで開催された”ラウンド・ザ・ハウス”グランプリを記念するモデル「モントルー」などもラインナップされています。
2023年現在のラインナップは7種類です。「ファストバック」にはMIYOTA製のムーブメント「Miyota 8215」が搭載されパワーリザーブは42時間です。ケースサイズは44mm、クラウンガードを含むと48.5mm、ケースの厚さは13mm。ケースやベゼルにはフォージド・カーボン、アノダイズドアルミ、チタン、セラミックが組み合わせて使用されていますが、モデルにより仕様は異なります。クラウンそしてケースバックにまでチタンが使用されています。
その他スペックですが、100mの防水性、両面無反射コーティングのサファイアガラス、そして夜光にはスーパールミノバを採用。
・レガシー(LEGACY):194,700円
・モントルー(MONTREUX):194,700円
・ハガー オレンジ(HUGGER ORANGE):174,900円
・スティンガー イエロー(STINGER YELLOW):174,900円
・ギャラクシー ブルー(GALAXY BLUE):174,900円
・ファントム ブラック(PHANTOM BLACK):174,900円
・RS ホワイト(RS WHITE):174,900円
ムーブメント:MIYOTA 8215
ケースサイズ:44 mm
クラウンガード含むサイズ:48.5mm
ケース厚さ:13mm
ラグtoラグ:57mm
防水性:100m
クリスタル:耐スクラッチ・サファイア両面無反射コーティング
ファストバックに搭載されるムーブメント「Miyota 8215」ですが、MIYOTA公式によるとスペックは以下の通りです。
石数:21石
パワーリザーブ:42時間
精度:-20〜+40 秒/日
姿勢差:50秒以下
ファストバックGT
ファストバックの上位グレードとなるのが「ファストバックGT」です。
ケースサイズや防水性など、ファストバックと基本的な仕様は同じですが上位ムーブメントである「MIYOTA 90S5」を搭載していて、文字盤がオープンハート、そしてシースルーケースバックになっています。
また、文字盤のインデックスは立体的なアプライド仕上げになっているのが特徴ですね。
・NOMAD(ノマド):369,600円
・ACID GREEN(アシッド グリーン):369,600円
・BLUE DEMON(ブルー デーモン):369,600円
・MODENA(モデナ):267,300円
・ESPIONAGE(エスピオナージ):297,000円
・BANDIT(バンディット):294,030円
ムーブメント:MIYOTA 905S
ケースサイズ:44 mm
クラウンガード含むサイズ:48.5mm
ケース厚さ:13mm
ラグtoラグ:57mm
防水性:100m
クリスタル:耐スクラッチ・サファイア両面無反射コーティング
ファストバックGTに搭載されるムーブメント「MIYOTA 905S」ですが、MIYOTA公式によるとスペックは以下の通りです。「Miyota 8215」と比べ格段とスペックが上回るわけではないですが、オープンハート式であるのが大きな違いですね。
石数:24石
パワーリザーブ:42時間
精度:-20〜+30 秒/日
姿勢差:30秒以下
ドリフト
・DRIFT MERCURY(ドリフト マーキュリー)
・DRIFT SAFARI(ドリフト サファリ):1,089,000円
・OUTLAW DRIFT SPECIAL(アウトロー ドリフト スペシャル):1,089,000円
スイスのムーブメントメーカー、ヴォーシェ・マニュファクチュール・フルリエ社が設計・製造するワンダリングアワー機構を搭載したのが「ドリフト」です。有名ブランドであれば数百万円以上するワンダリングアワー機構がゴリラウォッチでは1,089,000円と格安です。ただし当初販売されていたドリフトは626,400円だったので、それを考えるとかなり高くなってしまっています。
ムーブメント:ETA2824-2
振動数:28,800振動(8振動/秒)
パワーリザーブ:38時間
精度:-10〜+30秒/日
サンダーボルト
Thunderbolt Chronograph(サンダーボルト クロノグラフ):990,000円
限定モデル、販売終了モデル
CAYO ICACOS(カヨ イカコス)
LAGONDA(ラゴンダ)
TRUFFELHUNTER(トリュフハンター)
ORIGINAL(オリジナル)
SVIPE(スヴァイプ)
DRIFT(ドリフト)
DRIFT ELISE(ドリフト エリーゼ)
OUTLAW DRIFT(アウトロー ドリフト)
LEON RACING(レオンレーシング)
OUTLAW BLACK SERIES(アウトロー ブラックシリーズ)
DRIFT MIRAGE(ドリフト ミラージュ)
DRIFT MIRAGE MK.2(ドリフト ミラージュ MK.2)
SPECTRE(スペクター)
LEGACY TOKYO (レガシー 東京)
LEGACY HOKKAIDO(レガシー 北海道)
LEGACY KOBE(レガシー コウベ)
EQ BY MERCEDES-BENZ X GORILLA
ケースサイズについて
ゴリラウォッチのファストバック、GT、ドリフトはいずれもケースサイズ44mmとかなり大型です。私は普段40mm程度の時計をしていてこのサイズが一番しっくりくるのですが、それと比べるとかなり大きいですね。ただし、むしろゴリラウォッチはそのデザイン性から細い腕にした方がインパクトあっていいんじゃないかと思うほどです。普通だったら44mmの腕時計は選ばないのですが、ゴリラウォッチに関してはまあいいかなと感じてしまうところです。確かにサイズは大きいですが目立ってナンボの時計かもしれません。
それでもやっぱり・・という場合は2023年新作の「ファストバックツーリング」もアリかと思います。サイズケースは39mmと、ほどほどのサイズです。ただし、今のところホワイトもしくはブラックのシンプルなカラーバリエーションのみがラインナップされています。価格帯もファストバックに比べてかなり高いですね。
ネットで画像検索すると女性の方がファストバックを着けているのをいくつか見かけましたが、非常にインパクトがあって、ただし不自然ではなく似合っています。従来のメタルケースの時計でオーバーサイズなのとは少し違った印象を受け、やはりゴリラウォッチは独特なデザインだと思います。
ゴリラウォッチは自分の車やバイクの色に合わせて着けるのもオシャレだと思います。
どのモデルを買うか
ゴリラウォッチのラインナップから、どのモデルを買うのが一番いいのか非常に悩みます。それぞれのシリーズの特徴から考えてみます。
ファストバック:値段が魅力のベースグレード。ムーブメントは汎用だがカーボンやチタンケース採用でリーズナブルなモデル。はじめてゴリラウォッチを楽しむにはアリ。
ファストバックGT:オープンハート、シースルーバックケースが特徴。個人的に好みなデザインのモデナ、バンディット、ノマドなどがラインナップされている。ただしファストバックと比べ10万円ほど高く、その仕様ほどの価値があるか考えてしまう。
ドリフト:ワンダリングアワー機構がこの価格は魅力。ただし110万円となると他ブランドが視野に入る&普段使い時計から外れてくる
今後の予想ですが、今後ドリフトのようにスイスムーブメント搭載モデルはいくつも出てくるはずです。そして安価なモデルは無くなっていくことを考えると、今買うならベースグレードの「ファストバック」がいいかもしれません。
とはいえ、どのシリーズというよりかは好みの色・デザインで決めればいいかと思います。私の場合ファストバックであればモントルー、GTであればモデナ、バンディット、ノマドが好きですね。
また、ゴリラウォッチの中古も狙い目かと思います。ファストバックでは10万円前後、ドリフトでも40万円前後で手に入るので選択肢としてはアリですね。
ゴリラウォッチの資産価値、リセール(中古価格)は?
ゴリラウォッチのリセールバリューですが、あまり良くはありません。ということは中古で購入すればお得であるということですね。オークションでの価格を見てみると、ファストバックでは10万円前後、ドリフトでも35万円〜で販売されていることもあります。ただしゴリラウォッチの販売台数は少なく、希望のモデルがオークションなどに出品されることは少ないかもしれません。
私が今のところ考えているのは中古での購入です。一つ目の選択肢としては、まずは10万円程度でファストバックを中古で購入して楽しんでおき、今後何かしら特別モデルが新登場したらそれを購入。
もしくはドリフトを中古で購入です。現在新品で販売されているドリフトの価格は約110万円と、以前と比べかなり値上がりしています。中古の場合、オリジナルのドリフトやエリーゼ、ミラージュが安いと35万円程度でオークション出品されているのを見かけます。これはかなりお得なんじゃないかと思います。
しばらくオークションなどをチェックしながら検討したいと思います。また、今後の新作発表も楽しみです。