EVの電力消費量の指標となる電費ですが、計測方法がいくつか存在しています。(同様にガソリン車の燃費においても)
この記事ではEVについて各基準の解説と、基準を相互に換算できるシミュレーターを作成したので紹介しています。
各基準の概要
メーカーカタログなどに記載される電費もしくは航続距離ですが、最近ではEPAもしくはWLTCでの表示が多くされています。ガソリンでの燃費でもカタログ燃費と実走行の燃費が異なる、といったことはありましたが、EVに関しても同様で、計測基準は重要なポイントです。
特にEVの場合、充電場所・充電時間などの問題から従来の燃費よりシビアに見られるかと思います。どの計測基準が実走行に近いのか、といった視点で各基準を解説しています。
EPA
アメリカ合衆国環境保護庁(United States Environmental Protection Agency, EPA)が定める基準です。EPAは自然環境などの保護を目的とした、アメリカの行政機関です。
このEPA基準ですが、他の基準に比べカタログ電費と実走行での乖離が最も小さいと言われています。バッテリーへの充電ロスなども考慮されており、他に比べて厳しい計測方法です。
WLTC(WLTP)
WLTC(WLTP)は国際基準です。(Worldwide harmonized Light-duty vehicles Test Cycles)
市街地、郊外、高速道路の各シチュエーションを想定して計測するなど実走行に近い数値として計測されています。しかしメーカーカタログではEPAとWLTCを併記しているモデルがありますが、EPAのほうが厳しい数値になっています。国際基準よりもEPA基準のほうが実走行に近い数値と言えます。
JC08
JC08は日本独自の試験方法です。以前の10・15モード燃費に代わる計測方法です。しかし現在、日本では世界基準であるWLTCでの測定結果を表示するようになっています。
JC08よりもWLTCの方が実走行に近い数値です。
NEDC
NEDC(New European Driving Cycle)は欧州での基準ですが、こちらも世界基準のWLTCへと移行されています。NEDCよりもWLTCの方が実走行に近い数値です。
換算表
海外などのサイトを参考にすると、以下のような換算比率となります。
あくまで換算であり、実際の計測とは差が出ますので参考情報としてください。
国際基準であるWLTCモードよりも、アメリカ基準であるEPAモードの方が実走行に近い数値が出る現状です。WLTCは国際基準で、各国は今後もWLTCモード表記を続けることを考えると、WLTCは実走行により近い計測方法に改定されていくかもしれませんね。
モード | 比率 |
EPA | 1 |
WLTC | 1.12 |
JC08 | 1.33 |
NEDC | 1.43 |
自動換算シミュレーション
上の換算表をもとに、航続距離換算シミュレーターを作成しました。
メーカーカタログではWLTC表記のみで、EPA基準の航続距離を知りたい場合など、参考数値にしてください。
ガソリン車の燃費と同じく走行シチュエーション、エアコンの使用状況などで実走行の電費・航続可能距離は異なってきます。また、EVの場合バッテリーの劣化も考慮点となります。
参考として利用ください。
fromに換算前の基準を選択してください。
航続距離 | km |
from | |
WLTC | 1,000 km |
EPA | 892.9 km |
JC08 | 1,187.5 km |
NEDC | 1,276.8 km |
電気代などをシミュレーションする
航続距離換算以外にも電気代計算シミュレーターを作成しています。
電気代、電費の計算や、バッテリー容量などの計算も可能です。
以下のリンクから利用ください。